『遊び=学び』という考え方のもと6つの要素から構成された課業は、遊びの中で様々な経験を通して学びを深め、子どもの興味関心を伸ばします。
0~6歳の脳が最も発達する幼児期は、非認知能力を最大に伸ばせるタイミングです。この時期に、保育者の意図や計画のもと、子ども自身が「楽しそう」「やってみたい」と自主的な気持ちで課業に参加することで、「先生は、次はどんな楽しいことをしてくれるのかな」「教えてくれるのかな」という好奇心が芽生えます。その経験が子どもの学びに対する意欲を高め、その後の成長や人格形成に繋がっていくのです。
例えば、子どもが「ありがとう」を伝えたい時、
『文学』は、気持ちを文字や言葉で表現できます。
『数』は、「ありがとう」の文字数、言語の種類や数を
知ることができます。
『美術』は、絵や制作で気持ちを表現できます。
『わらべうた』は、「ありがとう」という言葉を使った
わらべうたを通し、音や響きを表現できます。
『環境認識』は、伝える相手や自分自身を取り巻く人との関係性を
認識することができます。
『毎日体操』は、友達と体を動かすことで協調性を学んだり、体験を共有することができます。
上記のように、6つの領域は独立しているのではなく、領域ごとの特性が相乗効果として関わり合っています。
身近で昔から歌い継がれてきているわらべうたは、子どもに無理のないメロディと音域、自然なリズムで成り立っているので、まるで言葉を話すかのように誰でも歌うことができるのが特徴です。また、歌にはいつも動作が伴っているため、常に鼓動を感じながら遊ぶことでリズム感の獲得にも繋がります。他にも、友達や自分の声をよく聞き合わせて歌う体験は「聴く力」を育みますし、仲間とルールを守って楽しむ行為は子どもたちの豊かな感性と集団意識を育てていきます。
毎日10〜15分ほど、脳を活性化させる動きや体幹をつくる動きを、遊びながら自然と行います。例えばボールを用意して、どうやったら転がるのか、どうやったら弾むのかを実際に手足を動かしながら考える。そういった経験は、体を動かす楽しさを知るきっかけになります。
毎日体操を続けることで、子どもは精神的な安定感が増し、自分の感情をコントロールできるようになります。そして協調性が高まり、社会生活の基礎が身につくのです。他にも、乳児期に取りこぼしてしまった基本的な運動能力を身につけたり、運動発達が不十分なために起こる学習や振る舞いにおける障害の予防にもつながります。また、すでに何らかの課題がある場合は、運動発達を通して働きかけを行うこともできるのです。
絵本を通して言葉の世界に出会う喜びを知る。あるいは、絵本を用いずに様々なお話を保育者が語りかけてくことで、豊かな想像力と発想力を育んでいく。共通の色や形を認識することができる絵本に対して、素話はそれぞれのイメージや一人一人の個性を大切にします。
自分の発想や考えを認められる体験は、自己肯定感の形成に繋がります。そして、お友達の発想を知ることで新たな発見に出会うことができるのです。
子どもたちは日常の生活や遊びの中で、すでにたくさんの「数」に出会っています。それは学校で教わる足し算や引き算というものではありません。遊びの中にも、「多い・少ない」「大きい・小さい」「長い・短い」や、いろいろな形や図形など、たくさんの数的な要素が存在しているのです。課業の「数」の領域では、様々な遊びや経験を数に関連付けることで、数への興味関心を高めることを目的としています。
季節や発達段階に合わせたお絵かきや制作活動(手仕事)を子ども自らが選んで取り組むことで、一人ひとりの発想力や集中力、興味関心を育みます。上手にきれいに描いたり作ることが目的ではありません。大切なのは、一人ひとりの柔軟な発想を認め、想像力を豊かにしていくことです。
家族・体・季節・天気・動物・植物・交通・素材・職業など、身の回りの物や事象をテーマにすることで、子どもたちの興味関心を広げていく活動です。
例えば、本物そっくりのお店屋さんごっこで、実際に買い物をしてみる。野菜の栽培を通して、匂いや味、形、クッキングを体験する。このように、様々な自然や社会に関する事柄において、言葉ではなく実際の体験から学びを深めていきます。
他にも、絵カードやクイズで知識を得たり、実際に本物に触れてみたりと、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を使って遊びながら身の回りの環境を認識します。その経験が、体験の言語化や知識の獲得、整理につながり、その上で人や社会に対する理解を深め、仲間関係を豊かにしていくのです。